【チャック・ベリー/ベスト・オブ・チャックベリー】~誰もが真似をしたくなるギターイントロとコマネチの共通点~
夫の音楽棚を購入した順番に紹介します!16枚目
本日の棚からひとつまみは「C」列から、「ベスト・オブ・チャックベリー」!
音楽棚に初めてCDアルバムがやってきた!
「チャック・ベリー/ベスト・オブ・チャック・ベリー」
ある日、中学で仲が良かった別の高校に進学した同級生と偶然に大学の構内で久しぶりに会った。
超人気アイドルと同姓同名だった彼は、大学に入ってからなぜか熱狂的なビートルズとジョン・レノンのファンと化していた。
その彼と学食に入って音楽の話をしていたら、チャック・ベリーの音楽が聴きたいと言ってきたので、最近たまたま購入したチャック・ベリーのCDを貸すことにした。
ビーチボーイズばかり聴いていた当時の私は、彼らの出世作「サーフィンU.S.A」がチャックベリーの「スウィート・リトル・シックスティーン」という曲のメロディーを拝借したものだとライナーノーツで知り、「どんな曲なんだろう?」と気になっていた。
私はその真偽をいち早く自分の耳で確かめたかったが、どこのレコード屋を探してもチャックベリーのカセットやレコードが無かった。そして、ようやく見つけたのが、このCDだった。
CDプレイヤーはまだ高くて買えず、CDを買ったのに聴くことができない。しかしその友人の部屋にはCDプレイヤーもカセットデッキもあるというではないか!
私は渡りに船だと思い、そのCDを貸す代わりにカセットテープを渡して、ダビングしてくれるように頼んだ。
数週間後、学食でその友人と再会した。ところが、なぜか浮かない顔をしていた。
「どうした?」
「期待外れだったよ。買わなくてよかったよ。」
「エェー、なんで?」
「だって、みんな同じ曲に聞こえるんだもん。聞いて損したよ!」
なんでも、ジョン・レノンの伝記か何かを読んで「ロックンロールに別名を与えるとすればチャック・ベリーだ」という記述があったらしく、すごく期待したそうだが見事に裏切られてガッカリしたのだそう。
「そんな大げさな!」
私はまだそのアルバムを聞いてもないのに反論したが、ホントかどうか家に帰って早速ダビングしてもらったカセットを聴いた。
「ジョニー・B。グッド」「オールモストグロウン」「ロールオーバー・ベートーヴェン」「メイベリーン」「スウィート・リトル・シックスティーン」…etc。
確かに全部似ていると、一聴して感じたことは感じたが、やはりそれは言い過ぎではないかと私には思えた。
どの曲もキャッチーでスリーコードを基本としているロックンロールだが、ロックの様々な名曲でも繰り返してカバーされるあのギターのイントロの創始者だと思うと、たとえ一聴してワンパターンに思えてもこれは凄いものだと思った。
「これは落語や歌舞伎などと同じようなある種の伝統芸能のようなものではないのか?」
勝手な解釈をした私は、あるものとの共通点をこれまた勝手に思いついた。
ビートたけしのコマネチだ!
私は小学生の頃にはツービートの洗礼を受けた世代だが、熱狂的に支持していたわけでもないのに、コマネチのポーズは今までに何度も無意識にしていたと思う(笑)
たぶん、ビートたけしの熱狂的なファンでなくても、日本中のかなりの数の人間が意識的、無意識的にかかわらず一度や二度くらいはこのポーズをしたことがあると思う!
それくらいキャッチーで気持ちいいポーズだと思う(笑)
それと共通するくらいチャック・ベリーは普遍的なギターのイントロとギターリフを開発したイノベーターで、エレキギターを手にしたら誰もが真似をしたくなるフレーズだ!それくらい弾いていて気持ちいいし、痛快だ。
しかし、チャック・ベリーの影響はそれにとどまらず、ロックの精神性を体現した物語性のある素晴らしい詞の世界とその生き方だと思う。
読み書きができない少年がギター一本でスターへと駆け上がる物語、ジョニー・B・グッド。
おんぼろ車で高級車のキャデラックを抜き去る、メイベリーン。
ベートーヴェンをぶっ飛ばして、今日もR&Bを楽しもうと痛快に呼びかける、ロールオーバー ベートーヴェン。
だから、俺はロックン・ロールが好きなんだ!と叫ぶ、ロックンロール・ミュージック…etc。
チャック・ベリーはギターイントロやリフ、「ダックウォーク」と呼ばれるステージパフォーマンスだけではなく、曲を通して理不尽な世の中に対して疑問を投げかけ続け、「俺はこうするぜ」と答えを提示していった。
その精神性が数えきれない彼の名曲を通して後世のミュージシャンによって受け継がれていった。
ビートたけしもコマネチや漫才ブームで一世を風靡したものの、単なる売れっ子芸人として終わることなく、独特な世界観や精神性を湛えた映画を撮り続けて今や世界的な映画監督「北野武」として評価されている。そんな二人の姿勢は今の世の中に対して、
「ホントにそれでいいのかよ!」
って未だに問い続けているように感じる。
とはいえ、20年ほど前にアルフィーの坂崎幸之助が若い世代とのジョイントライブに出て盛り上がっていよいよ最後の曲ってなった時に、「じゃ、みんなでジョニー・B・グッドをやろうぜ!」と呼びかけたら、若いミュージシャンが、
「ジョニー・B・グッドって何ですか?」って答えたという(笑)
坂崎は世代のギャップを強く感じてしまったそうだ(^^;
もしかして、今のお笑い第7世代にとってはコマネチも伝統芸能の部類になっているのかもしれない。
チャック・ベリーのベスト盤を聴いて、一つの物語のように感じてしまっていた私は、この後、本格的なレコード収集の旅に入るキッカケとなった思わぬ「みっけもの」と出会ってしまうことになる。
購入履歴15枚目の記事はこちらです。
『音庫知身』ー妻からひとことー
しかし、まだCDプレイヤーも準備していないというのにCDを買ってしまうという時点で相当ハマっていたんだと思う。でもまぁ、何が何でも手にしたい!という気持ちもわかるし、後にこうして私もその恩恵を受けることが出来たのだからヨシとしよう(笑)
ジョニー・B・グッドも、ロール・オーヴァー・ベートーヴェンも私はビートルズのカバーを最初に聴いていたので、この2曲はビートルズの曲だと思っていた。
あたりまえだけど、やっぱりどんな人にも影響を受けている人物、師となる人物がいたのだとつくづく実感するし歴史を辿るととてもおもしろい!
なんといっても、夫のコマネチ の逸話をこうして知ることが出来たのだから…(笑)
本日までの消費累計金額はこちら(*ノωノ)
現在の音楽棚購入累計金額 ¥38,500
※累計金額は、夫が購入した時点での金額であり現在は価格が違う場合があります。